地域おこし協力隊

地域おこし協力隊OB シノモトさん

2020年2月着任 2023年1月退任

「山の中で働きたいと思い林業の世界に。今は “地域の力”になりたいです」

佐賀市地域おこし協力隊の任期(3年)を終え、20232月から佐賀市富士町で林業家として活動するシノモトさん。大学卒業後に家具屋(福岡県)に就職し営業職に従事。その後、東京の直営店舗の店長、関東地区のエリアマネージャーの職を経験。大都会で生活する中で、「自然に飢えていた」と話します。サラリーマンから“地域おこし協力隊”、そして“林業家”に大変身を遂げたシノモトさんのステップを伺いました。

地域おこし協力隊に応募した理由を教えてください

はじめは“地域おこし協力隊”の制度は知らなかったです。「そろそろUターンしたい」と考えるようになったときに、東京都有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」で行われた移住者フェアに参加しました。その時から佐賀市の担当者に「林業をやりたい」と伝えていて。その後、別の機会に、佐賀市地域政策課の方と直接話ができ、林業が盛んだという佐賀市富士町を妻と訪れました。

 

毎日の満員電車に疲れていたというシノモトさん。その反動で、休日は登山やキャンプをするなど自然を求めていたそう。そんな中で、Uターンを考え始めたときに佐賀について調べるように。佐賀には自然がたくさんあり、山の中で働けたら気持ちがいいだろうなと思い林業に興味をもったそうです。

 

富士町への視察は12日の短い日程でしたが、森林組合の作業現場や木材の会社などを訪問させてもらい、自分のやりたかった「林業」がイメージできました。そして、地域おこし協力隊の制度を使って林業をココで学びたいと思いました。

 

地域おこし協力隊ではどんな活動をされていましたか?

隊員1年目は、地域の方のお手伝い、例えば河川清掃などをしていました。SNSを活用して、Facebookで地域おこし協力隊のことを、Instagramで古湯温泉界隈(かいわい)の情報を発信。観光客の方にインタビューをして、古湯の感想を聞いたり、要望に応えるために河川敷に木材のベンチを作って設置したりしたこともありました。

周りの方に「林業でも自伐型で個人事業としてやりたい」と伝えていたので、佐賀市森林整備課の方が杉山さんを紹介してくださって。杉山さんはまさに自分が理想とするスタイル「自伐型林業家(1人親方)」。佐賀市富士町で米づくりと林業を生業に1人で仕事をされています。出会った次の日から杉山さんのところでお世話になり、初めのころは、山の中の草刈りや、チェーンソーを使った作業を行いました。2年目は「ユンボ」(掘削用建設機械)を使い山の中に入るための道づくり、3年目は「高性能林業機械」(伐倒から集積、集材までを行う機械)を使い作業をしました。機械を扱うにあたり資格も必要ですので、任期中に作業に必要な資格を10個取得しました。杉山さんには、林業の技術だけでなく、考え方や経営的な部分も学ぶことが多かったです。

大変だったことや困ったことを教えてください

“退任後の暮らし”を考え不安になりました。地域おこし協力隊の任期中は、支給があり、住まいも用意されていたので活動に集中できました。でも、退任後は何も保証がない。独立するにも作業する場所(工房)がなかったので、隊員2年目から家と工房を探し始めました。ちょうどその頃、集落支援員(集落の状況把握や移住支援などを行う人)の手伝いをしていたので、空き家の情報をもらって、現在の物件に出合うことができました。実はこの家は、元々大工さんの家だったそうです。隊員3年目に空き家を購入して、元々あった作業場を工房にリフォームしていきました。退任後に向けて逆算して動いていたという感じですね。

今後の目標や夢を教えてください

今回(20237月)の豪雨災害でいろいろと考えさせられました。富士町でも被害が出て、重機やチェーンソーを使える人の重要性を痛感しました。もちろん、専門の業者(会社)の方たちもいるのですが、住人の方の要望に細やかに対応できる、すぐに動ける個人の力が大切だと。地元の人同士で助け合える“地域力”が必要だと思いました。自分もその一員になれたら嬉しいです。

応援メッセージ

「地域おこし協力隊」を考えている方へ

隊員になれば任期中はどうにかやっていけます。でも、退任後(3年後)は自分で考えてやっていかないといけない。漠然とでもいいので、“やりたいこと”を考えながら、周りの人たちとつながりをもっていくのが大事だと思います。私自身、「林業をやりたい」と言っていたので、いろんな方がつないでくれました。まずは、目の前のひとつひとつを考えてみてください。


シノモトさんの活動の様子は、ぜひ↓インスタでチェックしてください!

 シノモト林業 s_forestry_

地域おこし協力隊 ツツイさん

2021年4月着任

「自分と向き合える尊い時間。中山間地域の人たちに喜ばれるのが幸せです」

2023年4月で地域おこし協力隊に着任にして丸2年になるツツイさん。東京都で育ち、着任前は製紙の専門商社に勤務。転職先を模索する中で、出合ったのが佐賀市の “地域おこし協力隊”でした。事務の仕事をしていた彼女が、現在はヨガのインストラクターとなり、中山間地域の人びとを笑顔にしています。

 

地域おこし協力隊に応募した理由を教えてください

仕事の幅を広げたいと転職を考えていた時に、有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」で、佐賀市のおためし協力隊の事前オンラインセミナーに参加しました。そこでドローンで撮影された中山間地域の景色を見たり、佐賀市の方の話を聞いたりして、自然が豊かできれいな場所だなと思いました。当時は中山間地域を知らなかったのですが、実際に足を運んでみたいと思ったのです。

 

 

その後、「おためし地域おこし協力隊」(2泊3日)に参加し、富士町、三瀬村、松梅地区を訪れたというツツイさん。

 

中山間地域の視察では、温泉や農園などの施設を訪れたり、体験では古湯温泉の女将さんからみそ作りを教えてもらったり、さまざまなプログラムが用意されていて、現役の協力隊の方から活動の話も聞けました。短い時間でしたが、お山の人たちの温かい人柄がすごく分かり、“この場所で協力隊として活動したい!”と思うようになりました。 また、「フリーミッション」(自分で見つけて活動をする)ということだったので、自分の好きなことで地域貢献できることも魅力的でした。“知らない土地でやっていけるのか”という不安より、“やってみたい”という気持ちのほうが大きかったです。

 

 

大変だったことや困ったことを教えてください

実は着任して約1年間は、「北山森クラブ(みんなの森プロジェクト)」で、木工教室やイベントのお手伝いをしていました。インストラクターの方が幅広い層の人たちに合わせて声かけなどをされていて、見事な対応力に圧倒されたことを覚えています。そこでの経験が今の活動(ヨガのレッスン)にもすごく役立っています。

そして、そこからヨガのインストラクターにシフトしていったのですが、知らない土地で“ないものを作っていく”ことの難しさを痛感しました。人脈もない、レッスン場所の問題など…。どうしたらいいのか分からず、もどかしい時期もありました。しかしながら、富士町の社会福祉協議会の方をはじめ、地元の人たちと出会い活動場所を広げていきました。

会社員時代から趣味でヨガをしていたツツイさん。心と体を整える健康法「ヨガ」に着目し、地元の人たちに“心身ともに元気になってほしい”と隊員になってからインストラクターの資格を取得。現在では、中山間地域のさまざまな場所でレッスンを行なっています。

 

活動をされていかがですか

自分のしたこと(ヨガ)で喜んでもらえるのが何より嬉しいです。椅子ヨガでは、ヨガを知らない世代の方から「気持ちが良いね」「温まる」と言ってもらえたり、ママ向けのヨガでは、親御さんから「身体がのびた」「リフレッシュできた」と喜ばれたり、そんな声を聞けるのが幸せ。自分でアプローチをかけていくことは難しいですが、活動の場所が広がって良かったです。

 

今後の目標や夢を教えてください

世代に合わせた指導をより強化するため、専門的な知識や、高い技術を習得したいと考えています。また、一時はコロナ渦で活動を自粛していたので、これからはもっと地域の方と交流したいですね。そして地元の方との関係を今まで以上に深めていきたいと思っています。

 

取材時:2023年3月

応援メッセージ

「地域おこし協力隊」を考えている方へ

中山間地域は自然が豊かで、地域の人たちが温かい場所です。環境が違うので、戸惑うこともあるかもしれませんが、地域おこし協力隊での活動は自分と向き合える尊い時間だと思います。少しでも気になる方は、ぜひ挑戦してください!